お盆の夜
おかあちゃん
というのはわたしの母方の祖母 貞子のこと
母が貞子のことを おかあちゃん と呼んでいたので
わたしたち孫も おかあちゃん と呼んでいました
おかあちゃんは 腰がしっかり折りたたまれ90度を下回る角度で歩いていました
40代で腰が曲がりはじめたというからえらいこっちゃ
目がわるすぎて目が合わない小さくつぶらな瞳
シワでくしゃくしゃな顔
手も足も特大なのに腰がまがっている小さなばあちゃん
いつも細くて小さい250mlの
三ツ矢サイダーやみかんジュースの缶をご飯のお供にして
あんぱんが大好き
お菓子が大好き
不器用すぎて食紅がまだらについた赤飯はびっくりのかわいさ
料理は苦手でほとんどじいちゃんがつくりますが
きんぴらごぼうはめっぽう美味しい
ドサッとドボドボと大胆な調味料の入れ方と
視力のひくさゆえの荒すぎる野菜の切り方
やわらかくてほんとにほんとに美味しくて神がかっていた
唯一無二のきんぴらごぼう
あまあまなおかあちゃん は
死ぬ時まで枕元にあんぱんを常備しつつ無病でした
「転ぶな!気をつけろ!」と目のわるい自分を励ましながらまいにちトイレに歩き
「トイレは真剣勝負だ!」と
死ぬ直前まで自分で歩いて用をすませていました
望月に住んでいると
おかあちゃんの住んでいた水府村の景色に似ていて
よく思い出します
八百万の神へあいさつするおかあちゃんとお寿司屋さんへゆく話や
じいちゃんとお相撲を見ていたふたりの姿
など
かわいいおかしいおかあちゃんの話
いくつか紹介していきたいと思った
お盆の夜でした
photo Ayaka Onishi