春に野点をしよう

 

 

穀雨

 

 

旧暦年明けにうさぎの菓子をつくり

岡野園の抹茶でひとり茶会をしたこと

メッセージを送りやりとりをしていると

 

 

「春に野点をしよう」

 

 

となおみちゃんと約束しました

 

 

桜がまっててくれるかな

と話していて

花見なら清水さんの桜の木の下なんだけどと決まっていたけど

今年はずいぶん早くに咲いて散ってしまいました

 

 

「いま 彼女とお茶するのにぴったりな場所はどこだろう?

静けさといえば森だろうか 桜は散ってもあの場はきもちがよいな」

 

 

猫を膝にのせ

どこでお茶しようかと天気を確認しながら

瞑想スタイルでいろんな場を妄想する日々

 

 

結局 前日に

ピカピカの暑い晴れの日になることがわかると

 

 

『長門牧場でソフトクリーム 後にあやちゃんちの庭で野点!』

 

 

とすぐに決まったのです

 

牧場はひろく見晴らしよく山脈も見渡せて絶景

なのだけど

野点をするには広すぎるので

牧場の社宅に住む友人のおうちのお庭がちょうどよいはず

防風林と家が風を和らげてくれるから

 

そしてメッセージを送ると快諾してくれたのでした◯

 

 

 

なおみちゃんは到着すると

昨年お渡ししたうちのお庭のハーブにひふみゆ をイメージして

緑茶と蝦夷蓬を合わせたお茶をプレゼントしてくれました

 

 

彼女に合いそうな静かな湧水を汲みに行き

標高1500mの牧場へ

 

おいしいソフトクリームをいただきながら

北アルプスや浅間山連峰

長野の高ーーーい山を眺めました

ここへ来ると長野に住んでいるなと感じる土地です

 

牧場にくらす友人のお庭に着くと

おっぱいのようなやさしい形が好きな蓼科山を

眺めるほうへゴザを広げました

 

 

汲んだばかりの水を火にかけ

なおみちゃんがお茶の用意をします

 

 

わたしたちは朝から餡子炊きした桜餅をお皿にのせました

 

 

丁寧にゆっくりと

目のまえでなおみちゃん自ら淹れてくだすって

その所作を見てとなりに座る友人は涙があふれていました

なにか琴線にふれたよう

 

 

 

一煎目

 

ニ煎目

 

 

感覚も 印象も まったくかわるのに

どちらもやさしくて

 

とにかく

どちらも

ほんとーーー に
美味しかった

 

 

あーー

なおみちゃんのお茶 やっぱり大好きだ

 

ほんとに好きだ

 

すべてが思いやりだけでできてる

 

 

わたしの

理想のせかいなんだ

 

 

そんな人に出会え

淹れてもらったお茶が

この身体を通りふれてゆく

 

 

生きてるからできること

生きてることのよろこび

 

 

 

みんなでお茶をふくんだ感覚を伝えあうことをたのしみました

 

ひふみゆって感じするよって

友人が話し

 

わぉ こんなにやさしいかな?と

じぶんではわからないもんだとはずかしくなったりする

 

 

ニ煎目は わぁ おいしい

 

とにかくおいしい!

 

 

「ひふみゆはほわほわやさしいだけじゃないんよ、って感じがわかる」と話してくれ

これまた少しはずかしうれしい

 

いや

ただただ うれしい

 

 

 

意図せず渡したハーブが

わたしたちを表すものに形になり再びやってきて

こんなにたのしいあそびになりました

 

 

その後はお菓子を食べ

なおみちゃんの点てるお茶を堪能していると

頭上で小鳥がホバリングしながら鳴いていました

 

 

「ちょっと なにしてるんだろう? この人間たち たのしそうじゃない!」

 

 

とピーチクパーチクずっと鳴いていて

まだ葉のない枝をすりぬける陽を浴びながら

やわらかな風になでられ

あたたかくお茶をするひとときでした

 

 

 

あーーー

 

よいときだった

 

たのしかった

 

ありがとう ありがとう

 

夢のようだった

 

 

ひ 光 ふ 風 み 水

そんなお茶がいただけたこと支えにしてゆきます

 

 

 

 

けんじくん さとみさん こうちゃん なおみちゃん 来週はゆうみちゃん

大切な友人が次々と訪れてくれる卯月

 

 

このところ忙しくしてしまってるのに

気にせずバイトに送り出してくれてるやさしいみんな

(客人にいってらっしゃいと送り出されるふしぎな卯月です)

 

 

人と関わることで

わたしたちの好きな時間の感覚がわかってきます

 

 

できる範囲でいいよって

思える心持ちの気楽さや

 

相手を思いやる

 

いまの存在をみとめ合う

 

心の深いところの安寧

 

 

そういう人との関わりは

同じ一日でも

とても長い時間を共にしているように感じます

 

どこにもいけなくても

大切なひとと過ごせること

 

つまり足を運んでくれて

顔を合わせ

両手を広げて 抱き合えること

 

 

どれだけありがたいことか

 

 

そして遠くに住んでいても

会いに行こうと思うこと

 

また会えると思えることが

 

生きる糧になること

 

 

そんなことが やっと

わかってきた気がします

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひふみ」 2023.4.20  穀雨

緑茶 ヤロウ 蝦夷蓬 矢車菊

 

 

 

 

 

ありがとうなおみちゃん!

岡野園 https://okano-en.com/

岡野尚美 https://www.instagram.com/naomi.o_teaworks/